植物の名前にはルールがある

八ヶ岳の麓 香りと手当ての小さなサロン nanaflorナナフロールです。

精油を買うとき、原料植物の学名をチェックして買いますよね。
その学名がどんなルールで命名されているか、考えてみたことありますか?

世界共通のことば

植物にはその国、地方で一般的に呼ばれる慣用名があります。その呼び名はその地方では通用するけれど、別の地方・国では通用しないことは多々。だけど、その植物の学名を知っておくと大丈夫。学名は、国際的に統一されたルールによって植物の名前を表す、世界共通の言葉。

例えば、旅先で精油を買いたいと思った時。植物の苗や種を買うときも同様。世界共通の呼び名を知っておけば、国が違っても言語が違っても、通用します。学術文献や、海外の情報を得ようと思った時にも、学名がキーワード。苗の生育の仕事をしている友人も言っていました。言葉が通じなくても、学名が分かればコミュニケーションできる、って。

日本でも昨今はOEMで沢山精油ブランドが作られていますよね。ブランドごとに独自の香りの呼び名を付けているところもあるので、「何の精油?」と思ったら、先ずは原料植物の学名をチェックしてみてください。

 

目次

二名法

現在使用されている学名は、「二名法」と言われ、18世紀にスウェーデンの博物学者、リンネによって確立されたもの。”植物の名前を2単語のラテン語で表す “という方法です。
 


  • 最初の単語は「属名」、頭文字は大文字。 
  • 2つ目の単語 は「種小名」、頭文字は小文字。 
  • イタリック体で表す。

例えば、ラベンダー・アングスティフォリア  Lavandula angustifolia。➡ Lavanduraが属名、angustifoliaが種小名。


種小名は、葉の形や色など、その植物の特徴を表しています。
例えば、angustifolia は「細長い葉」という意味を持っていて、Lavandula angustifolia は、「細長い葉をしているラベンダー」ということが学名から読み取れるのです。

この【属】【種】の2単語に加えて、さらに階層的な分類もあって、そこで【亜種】【変種】【品種】を表していています。


  • 「亜種」を表す単語:subsp. (又は、ssp. / subspeciesの略 )
  • 「変種」を表す単語:var.(varietyの略)
  • 「品種」を表す単語:f.(formaの略)

これらの略単語は、イタリック体ではなく、ローマン体で書かれます。

例)グレープフルーツ Citrus aurantium ssp. bergamia

このように、属・種を表す2単語の次に、亜種と亜種名を意味する単語ssp. bergamia が続きます。

また、ミントのように、種小名の前に「x」がつけられることもあって、これは種間雑種を意味する記号とされています。

例)ペパーミント Mentha x piperita

 

学名は、原則として正式に発表された最も古い学名が採用されています。

ただ実際には、ベルガモットのように、Citrus bergamia とされていたり、Citrus aurantium ssp. bergamia とされていたりと、団体や書籍により違う場合もあって、1つの植物に対して複数の学名が使われていることもあります。この辺りは難しいのですが、どの学名を使うかは、各団体・専門組織ごとに採用する学名の検討をしているはずです。AEAJについては、過去の会報誌で「World Flora Online」に従っている」との記載がありました。

 

学名は 変わることもある

学名は、一度決まったとしても、途中で変わることもあります。 植物の研究が進む中で、「この種は実はこっちの属だった」ということが明らかになった場合ですね。

例えば、私たちになじみのある植物でいうと、ローマンカモミール。
リンネが Anthemis nobilis と発表しましたが、その後、Chamaemelum属に移され、学名がChamaemelum nobile に変わっています。

このほか、属が変わったものといえば、最近だとローズマリー。Rosmarinus属から、Salvia属に変わり、学名もRosmarinus officinalis からSalvia rosmarinusに変更されています。

ローマンカモミールやローズマリーのように、どの業界でも、研究が進むにつれて、これまで「定説」と言われていたものが覆ってしまうこともあり得ます。それが分かった時点で、私たちも記憶のアップデートをしていくしかないんですよね。

 

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まだまだ解明されていないことが山ほどある植物の領域。こういう学名の変化一つとっても、興味深いなと思います。

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