八ヶ岳の麓、香りと手当てのサロン nanaflor ナナフロール です。
写真は、昨年歩いた霧ヶ峰の八島湿原。いろいろな姿の種を見つけましたよ。
植物の種の形って、じっくり観察したことありますか?
身近なのだと、ひっつき虫(センダングサ)や綿毛(タンポポ)。
センダングサには、誰かにくっついて運んでもらうためのツノがついているし、タンポポは風に上手に乗れるようにフワフワの綿毛がついています。このとおり、植物によって種の形はさまざま。
なぜそんな形をしているのか?
それは植物の知性の結晶。途方もない時間をかけて、子孫を残すための最良の形を作り上げてきたのです。
そんな種の形を収めた小紙、「種子のデザイン」監修:岡本泰治 は、植物の生態に興味のある方にお勧めな一冊。SNSでも、以前この本のことを書きましたが、改めて見返してみてもやはり面白くて。こちらでもシェアさせて頂こうと思います。
この本は、2011年に開催された巡回企画展「種子のデザインー旅するかたち」展に寄せて、作られた本だそうです。当時はこの企画展のことを知らなくて、だいぶ後にこの本を手にして、巡回展があったことを知りました。オンタイムで観れなくて残念!
いろんな植物の、”不思議な種の形”。
風に乗って旅をする
弾けて飛び出す
ひっつく
食べてもらう
波に乗って漂流する
などなど。
どうやって大地に散らばるか。それにも色んな手法があって、種の形や色にちゃんと意味がある。目的があって、無駄のない様に、一つづつ目を惹かれます。
風に乗って舞うタイプの種でも、「風に乗る手段」の知恵の出しどころが、植物それぞれに違うんですよね。
例えば、
グライダーの形をしていたり、
船の形をしていたり、
翼でひらひら舞うタイプだったり、
綿毛でふわふわ飛ぶ、など。
カエデのプロペラのような形は、実際に庭の紅葉の種を見て気が付きました。毎年沢山この種が成るのに、親木の近くには生えてこないんです。風に乗ってどこまで飛んでいくのかと、旅の行方が気になるとだけど、そうして「旅に出られる」ということは、その形が理にかなったもの、だという事。
こんな種もあります。「ライオンゴロシ」という名前の種なんて、想像できる?
アフリカに育つゴマ科の実で、錨のような形のトゲを持つそうです。「ヒッカケイカリ」という別名を持っていて、動物のからだのどこにでも引っかかる形をしています。全方向にトゲがあり、口で取ろうとすると、今度は口の中に引っかかる、という面倒くさい種。口の中に引っかかってしまうと物を食べることが出来なくなり、ライオンでさえも苦しむ、と言われているそうです(命名がダイレクトで怖いです)。
ヒシという水草の種は、忍者が使っていたマキビシ。固いトゲと殻を持った種で、踏むと見るからに痛そう! この形で水鳥に付いて運んでもらったり、水中に根を下ろす際のアンカー的な役割をするんだそうです。
さまざまな種の造形に、植物自身の「意図」や「目的」がある。そう思うと、さらに植物へのリスペクトが高まります!