八ヶ岳の麓、香りと手当てのサロン nanaflor ナナフロールです。
春が来たと思ったら、また冬に逆戻りした今週。三寒四温、まさにこの言葉のとおりです。
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先日ハーブの本を数冊、購入しました。
私は手元に沢山の精油があるので、いつもはその助けを借りてますが、場合によってはハーブが取り入れやすいことだってあるかもしれない。
ハーブより精油。精油よりハーブ。きっとその時々で。
皆さんの手元に必ず精油が有るわけではないし、代用できるものがあればそれを使って、元気になれれば良いですよね。
そういう視点で、何かの折にお伝えできる幅が広がってるようにと、自分自身への+αとして。
今回手に入れた本の中の1冊、少し古い本だけど、今の私のニーズにピタリとくる、とてもいい本と出合えました。
「ハーブ大全」という本で、1990年に出版されたものです。中古でしか見つけられなかったので、おそらく絶版の本。
ハーブの標本写真が美しく、利用する植物の部位が分かりやすく載せてあります。例えば、根を使う植物だと、根まで美しく収めてあって、眺めるだけでも楽しい。
だけど一番は、この本の内容。
ざっと見てみても、各項目の内容がとても充実していて、いろいろと私の心をくすぐるポイントが多いのです。
内容は大まかに、入門編、実用編、応用編的な構成になっています。
序章の「ハーブの歴史と役割」という始まりには、ハーブというものがどういうものか、植物と地球とのつながり、迷信から化学へといったあたりが書かれていて、さらにこの本の役割の一つとして、「医学とハーバリズムとの橋渡しになること」「実用的なものから神秘的なものまで、ハーブとみなされるものについて、様々な考え方の間の橋渡しとなること」と書かれています。
この「橋渡し」という位置づけが、とても良い。医学と自然療法、家庭医学。色々な考え方、とらえかたがあると思うし、それぞれが必要な時に上手く使えれば良いと思ってます。そういうときの橋渡し役に、ハーブとそれを使う知恵があれば。
「治療用ハーブ」の章も良くまとめられていて、緑の薬としてハーブを使う場合、どういった症状に、何をどんなふうに使えるか、それを症状の出る身体の部位ごとに纏められています。例えば、呼吸器系、消化器系、循環器系、とかいう具合。
このあたりの切り口は一般的なハーブの本にもあると思うけど、この本の良いところは、その器官がどういった構造で、どういう働きをしているのか、という解剖生理的なことをちゃんと書いているところです。その器官の仕組みはこうなっていて、そこにこんなトラブルが起きていたら、こういったものが使えます、という形で、ただ「良いですよ」だけではない情報が詰まっているところ。ここがあると、精油の働きともリンクさせやすくて、私的にとても参考になります。
30年前の本なので、おそらく新しい情報も今はあるのだと思うけれど、これはこれで普遍的なものが詰まっているんじゃないかと、気になった部分から読んでいます。
原書はイギリス版だそうです。アメリカ版も出されていて、そちらは各所に注意事項が細かく記載されているそう。この日本語版は、イギリス版をベースに、注意事項に関してはアメリカ版を参考にして付け加えられたとのことです。巻末には、「日本人とハーブ」という章が加えられていて、日本の伝統ハーブについても紹介が載せられています。この部分も嬉しい。
カバーを外すと、本体は布張りのハードな装丁。こういうところも好きです。
田舎にいると、本を買うって一苦労。専門性の高い分野を扱う書店が無いので、基本ネットで探しますが、手元に届いてみないと内容が十分に分からないから失敗もします。でもこんな風に良書に出会えた時は、とても嬉しいです。
「ハーブ大全」小学館 Richard Mabey著/訳:神田シゲ、豊田正博