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中富記念くすり博物館(佐賀県鳥栖市)~大人のエクスカーション 旅編~

こんにちは!

アロマセラピストの上田香織です。

昨年の今頃は、ロンドンへ「視察旅」と名付けた一人旅、今年は九州へと、視察の旅に行ってきました。

台風6号発生のニュースで、お天気の行方が気が気じゃなかったのですが、台風が旅程とうまくずれそうだと分かり、無事に九州へ発つことができました。

台風で多少の予定変更はあったものの、今回の旅の目的はしっかり果たすことができ、大満足の視察旅となりました!

 

訪れたのは、少しマニアックな場所、佐賀県にある「中富記念くすり博物館」です。

視察を兼ねた、「大人のエクスカーション」旅編。

博物館のレポになりますが、ご興味あれば、読み進めてみてくださいね。

目次

中富記念くすり博物館(佐賀県鳥栖市)

記念館の概要(Wikipediaより)

久光製薬の創業145周年の記念の一環として、「田代売薬」を後世に伝えるために設立された博物館。現在は公益社団法人化され、「くすり」の文化遺産・産業を後世へ伝えている。(佐賀県鳥栖市は、久光製薬の興った場所だそうです)

中富記念くすり博物館(Wikipedia)

この博物館のある「田代」という地域。

ここは、江戸時代の中ごろに、置き薬の売薬の一つ、「田代売薬」が起こったところだそうです。

売薬、というと?な感じもするかもしれませんが、「置き薬」というと、ピンとくる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

置き薬は、定期的に薬屋さんが訪ねてきてくれて、使った分を清算して、新しい薬を補充してくれるシステムで、

昭和世代の私は、子供の頃、実家に、「富山の置き薬」が置かれていたのを覚えています。

そういえばと、書きながら思い出しましたが、
東京で仕事してをしていた時も、会社にこの「置き薬」システムの常備薬が置かれていて、毎月業者さんが常備薬をチェックしに来てくれていました。

近年は薬局やドラッグストアで手軽に薬が買えるような時代だから、個人宅から企業へと、置き薬のニーズも変化しているのかも。

1F 現代のくすりと世界のくすりがテーマ

紀元前3000年ころに作られた、シュメールタブレット(シュメール人の残した楔形文字の粘土板のレプリカ)
粉砕、煎じ、煮だし、濾過、塗布などの方法や、ハーブなど、薬の処方が書かれている粘土板で、世界最古の、処方箋なのだそうです。

観てみて。

これは、有田焼の薬壺
陶器に絵付けされている「VOC」とは、オランダ東インド会社の略。=Verenigde Oost-Indische Compagnie
有田焼の壺を東インド会社が輸入して、薬壺に使っていたんですって。
陶器の周りを縄で編み込むことで、破損を防いでいたのかな?

このくすりの歴史コーナーでは、シュメールタブレットから、現代にいたるまでの年表で、世界視点でのくすりの歴史が追えるようになっています。

私たちになじみのある薬の剤型いろいろ。
上から、丸剤、浸剤・煎剤、茶剤、チンキ剤、流エキス剤、芳香水剤、酒精剤

 

基礎研究から治験、承認、発売まで、9~16年の年月がかかり、
新薬の成功率は、約25,000分の1
開発の成功率0.004%

くすりは、そう簡単には出来ない、ということ!!

 

 

こちらも素敵な展示だった、アルバン・アトキン薬局。
19世紀末イギリス・ロンドン郊外にあった薬局をそのまま移設展示
当時は、化粧品や身だしなみ系のものも一緒に店頭に並んでいたみたいです。

去年のロンドンでも、小さな博物館で、18世紀の薬局を再現したディスプレイをみました。

それと比べると、やはり後年の時代のためか、アトキン薬局の方が、店内の様子も置かれている薬なども、だいぶ近代的に感じました。

 

こちらは、当時の処方箋。

誰に、どんな薬を処方したかが書かれています。達筆すぎて、注釈が無いと分かりません(汗

処方されていた薬の一部。
消化を助けるハーブもありました。どんなハーブが入っているのか、中身は分からず。

 

製薬に使われた機器類のコーナーには、蘭引(日本製の蒸留器)もありました!   


蘭引って、道具としても陶器としても、非常に美しいと思いませんか?

器同士の収まり具合(重なり)、冷却水や蒸留水のとおる細い口が、とても繊細に作られていて、今見ても素晴らしい職人技だと思うんです。

 

こちらは分留器の一部。 


近代に近づくにつれ、製薬機器や設備が大掛かりになっています。

 

このほかにも、原料を顆粒にするための機械や、粉砕して粉にするための機械などの展示も。

じっくり見ていたら、あっという間に時間が経ってしまい、1Fだけで午前中を目いっぱい使っていた!

2Fは田代売薬と、昔のくすりがテーマ

2Fは、日本のくすりの歴史と昔のくすりの展示。

こちらも興味の惹かれるものばかり! 

 

植物性、動物性、鉱物性のくすりの原料標本

珍しい原料もありました!
麝香、この状態は初めて見たかも。

こういうものもありました。
馬宝」といって、馬の胃腸内に出来た結石。
サイズは結構大きくて、手のひら位か、それ以上はあったと思う。小児のひきつけや、解毒に使われるのだそう。

 

 

田代売薬の歴史のコーナーでは、昭和初期の頃の、売薬の必需品一式が展示されています。

柳行李を5段重ねで背負って、両手に旅道具とこうもり傘。相当な重量だったとおもう。

山を越えて、村や町へ一軒一軒、訪ね歩く旅は、大変な仕事だったと思う。

けれど、医者や病院が近くにない地方の町や村は、この人たちのお陰で沢山救われたことだろうな。

全て手作業で行っていた昔の製薬の過程も、道具と共に展示されていて、当時の様子を分かりやすく伝えてくれていました。

最後は、薬用植物のコーナーでフィニッシュ

 

まとめと感想

入館と同時に「再入館可能ですか?」と確認して入館したのですが、案の定、1Fだけで随分時間をかけて観ていたので、一旦、昼食をとるために博物館を出て、再入館したんですよね。

受付のお姉さんも、「わ、ほんとに戻って来た!」と一瞬びっくりされたけど(笑)、笑顔で迎えていただき、午後も閉館時間ギリギリまで居たという、、、笑

本当は、外の薬草園にも足を運びたかったのだけど、台風の影響で雨もザーザー降りだったため、その分、室内の展示を満喫できたのも、結果として幸いでした。

あまり興味のない人には、サラっと流せる博物館かもしれませんが、私のような人なら、一日じっくり時間を取って過ごせる博物館です。

アルバン・アトキン薬局の展示も素敵だったし、田代売薬の歴史や、売薬のために持って歩いた荷物一式などの細かい展示も、見ごたえがありました。

くすりの製造や販売が、工業化されて物流も近代的になっていく前の、人の手や足のちからで、人から人へ渡っていた時代、もっと人間くさい時代を、振り返らせてくれた博物館。

こういう時代があってこその「今」なんだなと、振り返ることができたことが、一番の学びだったかもしれません。

実家にあった置き薬でよく覚えているのが、「熊の胆(い)」という、黄色い紙にクマの絵が描かれた胃腸薬。薬袋のクマの絵がとにかく印象的で。

熊の胆は、クマの胆嚢から採取した胆汁を乾燥させた生薬で、その歴史は古く、二日酔いや胃もたれ、子どもの疳の虫など、用法は多岐にあるそうで、飛鳥時代から利用されてきたそうです。

西洋薬が開発され始めたのは近代になってからで、それまでは、熊の胆のような動物性、植物性、鉱物性の薬が主流であり、それらが長い時間軸のなかで人を癒してきたことは、臨床の蓄積の一つだと思うんですよね。

 

田代売薬のような「置き薬」売薬は、江戸時代に富山から始まり、田代、富山、大和(奈良)、近江(滋賀)が、日本の四大売薬として根ざしていたそうです。

今も製薬会社が西に多いのは、こうした歴史的背景もあるかもしれませんね。

中富記念くすり博物館(公式HP)

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